サウナ後の「ととのう」感覚。
その心地よさに魅了される人が増える一方で、「なぜこんなにリラックスできるのか?」と疑問に思ったことはありませんか?
じつはこの“ととのい”には、私たちの自律神経の変化が大きく関わっていることが、近年の研究で明らかになってきました。
今回は、日本国内で行われた最新の実験データをもとに、サウナ×水風呂(温冷交代浴)による自律神経への影響を科学的に解説します。
「ととのう」メカニズムの裏側を知れば、サウナの入り方がもっと面白くなるかもしれません。
調査の概要
この論文は、サウナ温冷交代浴と浴槽温冷交代浴が自律神経に与える影響を比較した日本の実験研究です。
16名の健康な男女(普段からサウナ・交代浴習慣がある人)を対象とした入浴前後の生体指標の変化を測定した結果です。
この研究では、スマートウォッチ型の医療デバイスを用いて、心拍数や交感・副交感神経のバランスを示す指標(CVRRやCCVL/H)を測定。
浴槽交代浴とサウナ交代浴をそれぞれ別日に実施し、入浴直後と30分後の変化を分析しました。
項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | Effects of contrast water therapy baths and saunas on autonomic nervous system (温冷交代浴・サウナの自律神経活動への影響) |
著者・研究機関 | 早坂信哉・三橋浩之・早坂健杜・加藤典嗣 (日本健康開発財団、東京都市大学、自治医科大学) |
発表年 | 2024年 |
出典 | 日本健康開発雑誌(J-STAGE掲載) |
論文リンク | https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjhr/advpub/0/advpub_202546G03/_pdf/-char/ja |
サウナ温冷交代浴の条件
この実験では、以下の条件で温冷交代浴が行われました。
- サウナ温度:90℃
- サウナ時間:5分
- 水風呂温度:16℃
- 水風呂時間:1分
- 休憩時間:5分(※水風呂後)
▶ 上記を 2セット繰り返し
■ 比較対象:浴槽温冷交代浴の条件
- 温浴温度(湯船):40℃
- 温浴時間:5分
- 冷水浴温度:16℃
- 冷水浴時間:1分
▶ 上記(温→冷)を2回繰り返し。最後に温浴40℃を3分で終了。
主な調査結果
\調査結果をまとめると…/
- サウナ交代浴は心拍数を大きく下げる:入浴直後・30分後ともに顕著な低下が確認された。
- 交感神経の活動が急速に抑えられる:CCVL/Hが大きく低下し、副交感神経優位なリラックス状態に。
- 浴槽交代浴は緩やかな変化:自律神経の変化はマイルドで、リラックス効果は徐々に現れる傾向。
心拍数の変化
サウナ温冷交代浴では、入浴直後から心拍数が有意に低下。
30分後も低い値を維持しており、リラックス状態が続いている可能性があります。
浴槽温冷交代浴では一度上昇後、30分後にやや低下しました。

サウナ温冷交代浴では、入浴直後から心拍数が有意に低下し、30分後もその効果が継続。
浴槽温冷交代浴と比較して、より早く深いリラックス状態が得られたと考えられる。
自律神経全体の活動量(CVRR)
どちらの入浴法でもCVRR(自律神経活動の大きさ)に有意差は見られませんでしたが、サウナ後にはわずかに上昇する傾向がありました。

浴槽温冷交代浴・サウナ温冷交代浴ともに、CVRR(自律神経活動全体の指標)には大きな変化は見られず、
統計的な有意差は認められなかった。
交感神経活動(CCVL/H)の変化
- 比較では、サウナ浴の方が交感神経の抑制が顕著(p=0.011)
- 浴槽温冷交代浴:徐々に交感神経活動が低下
- サウナ温冷交代浴:入浴直後に急激に低下(p=0.048)

サウナ温冷交代浴では、入浴直後に交感神経活動(CCVL/H)が有意に低下し、リラックス状態が急速に訪れたことが示された。
対して、浴槽温冷交代浴では緩やかな低下に留まった。
結論
この論文は、サウナ→冷水→休憩を繰り返す日本式のサウナ温冷交代浴が、交感神経の活動を一気に抑え、副交感神経優位のリラックス状態を生み出すことを明らかにしました。
いわゆる“ととのう”と呼ばれる感覚の正体は、サウナ後の急激な自律神経変化による深いリラックスである可能性があります。
一方で、浴槽温冷交代浴はマイルドな変化であり、高齢者やサウナに不慣れな方には安全性が高い可能性もあると示唆されました。
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