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水風呂で暑さの中でもパフォーマンスを維持|プレクーリングが持久力を高める可能性を示した研究レビュー

運動中の暑さに悩んだことはありませんか?
マラソンやサイクリングなどの持久系スポーツでは、体温の上昇がパフォーマンス低下の大きな原因になります。

そんな中、近年注目されているのが「プレクーリング(運動前の冷却)」という方法です。

今回ご紹介するのは、冷水浴や氷スラリーの摂取、冷却ベストといったプレクーリングが、実際に持久力にどう影響するのかを整理した体系的レビューです。

目次

調査の概要

この論文は、プレクーリングが高温環境下での持久運動パフォーマンスに与える効果をまとめたレビューです。

28℃以上の環境下での持久系運動を対象とした13件の研究結果をもとに、各プレクーリング手法の有効性を比較検証しました。

この研究では、冷水浴・氷スラリー※・冷却ベストなどを運動前に実施し、その後のパフォーマンスへの影響が分析されました。

氷スラリー:細かく砕いた氷と飲料を混ぜたシャーベット状の冷たい飲み物で、体の内側から効率よく冷却できる。

項目内容
タイトルPre-cooling for endurance exercise performance in the heat: a systematic review
(暑熱環境下での持久力運動パフォーマンスのための事前冷却:系統的レビュー)
著者・研究機関Paul R Jones 他(イギリス)
発表年2012年
出典BMC Medicine
論文リンクhttps://bmcmedicine.biomedcentral.com/articles/10.1186/1741-7015-10-166

主な調査結果

\調査結果をまとめると…/

  • 冷水浴には中程度のパフォーマンス向上効果がある
  • 氷スラリーの摂取には限定的なエビデンスがある
  • 冷却ウェアには効果が見られなかった
  • プレクーリングによる体温低下が熱蓄積の余裕を生み、持久力向上に貢献する可能性

冷水浴は最も効果的な手法

6件の研究で検証され、3件で有意なパフォーマンス向上が報告されました。

運動前に冷水浴で体温を下げることで、体内に「熱の貯金」を作り、暑い中でも長く運動できるようになると考えられます。

ただし、30〜60分の冷却時間が必要で、設備の面でも現場での実施はやや非現実的です。


氷スラリー摂取は現実的な選択肢

4件の研究のうち1件で有意な効果、他3件でも傾向としての効果が報告されました。

氷スラリーは冷水浴よりも手軽に実施でき、スポーツドリンクを凍らせて摂取するだけで似た効果が得られる可能性があります。

体内から直接冷やすことで、持久力が高まる仕組みと考えられています。

冷却ベストなどのウェアは効果が限定的

3件の研究では、冷却ベストやジャケットなどの着用により体表面温度は下がるものの、深部体温には影響せず、パフォーマンス向上には結びつきませんでした。

特に、心臓や脳などの中枢温度が下がらなければ、運動の限界を押し上げることは難しいと考えられています。

結論

この論文は、暑い環境下での運動前に体温を下げておくこと(プレクーリング)が、持久力を向上させる可能性があることを示しました。

中でも冷水浴は最も効果的とされ、氷スラリーは実用的な代替手段として期待されています。

今後は、冷却方法ごとの比較や、競技現場での応用に向けたさらなる研究が求められています。

※本ページの内容はページ内にあるソースの学術文献等を、一部翻訳機能等を活用して弊社にて独自に翻訳・要約したものです。詳細は参照元の文献をご参照ください。

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