熱中症リスクの高いスポーツ現場やサウナ愛好家の間では、冷水浴の正しい使い方が注目されています。
今回ご紹介するのは、運動による体温上昇を抑える冷水浴の効果を、複数の研究から統計的に評価した国際的なメタ分析です。
調査の概要
この論文は、冷水浴による体温低下効果を分析したメタ分析※です。
※メタ分析:複数の研究結果を統合して、全体としてどんな傾向があるかを統計的に分析する方法
健康な成人を対象とした、運動後の冷水浴 vs 自然回復の効果を比較した19件の研究が対象となっています。
この研究では、電子データベース(PubMed, Web of Science)による文献検索を行い、体温低下率(クーリングレート)の平均差を比較・統合することで、最も効果的な冷水浴の方法を分析しました。
項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | Optimizing Cold Water Immersion for Exercise-Induced Hyperthermia |
著者・研究機関 | Zhang, Davis, Casa, Bishop(米国研究者) |
発表年 | 2015年 |
出典 | Medicine & Science in Sports & Exercise |
論文リンク | https://journals.lww.com/acsm-msse/fulltext/2015/11000/optimizing_cold_water_immersion_for.27.aspx |
主な調査結果
\調査結果をまとめると…/
- 冷水浴は、自然回復に比べて約2倍速い体温低下効果(0.08℃/分)を示した
- 水温10℃以下、全身(胴体+四肢)を浸すことで効果が高まる
- 前腕や手のみの冷水浴は効果が薄く、緊急冷却には適さない
体温が高いほど効果が出やすい
冷水浴の効果は、体温が38.6℃以上ある場合に高まります。
これは、体温と水温の差が大きいほど、熱が効率よく水に逃げるためです。
最初の10分が勝負
冷却効果は最初の10分が最も大きく、それ以降は徐々に低下します。
20分以内の冷水浴が推奨されています。
全身をしっかり浸すのがポイント
前腕や手のみを浸す方法では、体温の低下が不十分(0.01℃/分以下)であることが判明。
胴体+四肢の全身を浸すことが、効率的な冷却には重要です。

19件の研究をもとに、冷水浴による体温低下効果(°C/分)がどの条件で高まるかを分析。
体温が高い状態で、10℃以下の水に10分以内浸かることで、より早く体温が下がることがわかった。
結論
この論文は、冷水浴(CWI)が運動後の高体温症(特に熱中症リスク)に対して非常に効果的であることを、複数の研究を統合して裏付けたものです。
とくに、10℃前後の冷水に全身を10分間程度浸す方法が、最も効果的な体温低下手法であると結論づけています。
スポーツの現場だけでなく、サウナ後のクールダウンにも応用可能です。
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