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冷水水泳の効果とリスクを科学的に解説したレビュー論文|体温低下と免疫への影響とは?

寒冷な水に飛び込む冷水水泳(ウィンター・スイミング)は、一部の人にとっては健康法として、また一部の人にとっては過酷な競技として注目を集めています。

本記事では、2020年に発表されたレビュー論文『Cold Water Swimming—Benefits and Risks: A Narrative Review』をもとに、冷水水泳の科学的なメリットとリスクについて詳しく解説します。

信頼できる学術研究をベースに、体への影響を正しく理解し、安全に楽しむためのヒントをお届けします。

目次

調査の概要

この論文は、冷水水泳の健康効果とリスクをまとめたナラティブレビュー※です。
※ナラティブレビュー:特定のテーマについて既存研究を網羅的に集め、著者の視点で整理・解釈しながら全体像を描く文献レビューの手法

健康な成人を対象とした冷水水泳の生理的・心理的・免疫学的影響に関する研究結果を総合的にまとめています。

この研究では、PubMedやScopusを用いた文献検索を行い、実地調査・症例報告に基づく実践的・臨床的に意味のある研究が分析されました。

項目内容
タイトルCold Water Swimming—Benefits and Risks: A Narrative Review
(冷水水泳 メリットとリスク:ナラティブレビュー)
著者・研究機関Beat Knechtle 他(スイス、ポーランド、ブラジル、イギリス等)
発表年2020年
出典International Journal of Environmental Research and Public Health
論文リンクhttps://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7730683/#B7-ijerph-17-08984

主な調査結果

\調査結果をまとめると…/

  • 定期的かつ段階的に行う冷水水泳は、免疫力向上、ストレス耐性、血圧改善などの健康効果が期待できる。
  • 一方で冷水に慣れていない人が急に始めると、心拍異常や低体温症、溺水などのリスクがある。
  • 特に心疾患を持つ人は、心臓への負荷が致命的になる可能性があるため要注意。
アイスマイル(冷水水泳)中および終了後の体温変化の実測データ
図:アイスマイル(冷水水泳)中および終了後の体温変化の実測データ。
水中で体温は低下し続け、上がった直後よりも20〜30分後に最も低くなる傾向がある。

冷水水泳の健康効果

冷水水泳は、心血管系・内分泌系・免疫系に良い影響を与えるとされ、特に以下のような変化が報告されています。

  • 中性脂肪(トリグリセリド)の減少
  • インスリン感受性の向上
  • 白血球数の増加による感染予防
  • うつ症状の緩和や精神的幸福感の向上

定期的な実施によって、身体が寒冷に適応し、ストレスへの耐性が高まるとされています。

冷水水泳のリスク

冷水水泳の最大のリスクは「冷水ショック」と「低体温症」です。

  • 冷水に突然入ることで、過呼吸や心拍の乱れが起き、最悪の場合は溺水や心停止のリスクがある。
  • 特に心疾患を持っている人や、飲酒後に泳ぐことは非常に危険。
  • 長時間の冷水接触は、体温低下による筋力・判断力の低下、失神などを引き起こす可能性も。

安全に楽しむためのポイント

冷水水泳は、心疾患、呼吸器系疾患を抱えている人は医師に相談のうえ実施しましょう。

また、初心者は短時間・高水温から始め、徐々に水温・時間を調整して身体を慣らすことが重要です。

さらに、1人で行わず、必ず監視者か同行者をつけることも忘れないようにしてください。

呼吸のコントロールや寒冷時の身体反応を、事前に理解しておきましょう。

結論

この論文は、冷水水泳が正しく実践されれば多くの健康効果が期待できる一方で、重大なリスクも伴うことを明確に示しています。

とくに心臓や呼吸器に既往症のある人は注意が必要です。

冷水水泳は訓練と準備をしっかり行えば、自然との一体感を感じながら心身を鍛えられる素晴らしい習慣となりえます。

ただし、自分の健康状態を把握し、無理のない範囲で楽しむことが何より大切です。

※本ページの内容はページ内にあるソースの学術文献等を、一部翻訳機能等を活用して弊社にて独自に翻訳・要約したものです。詳細は参照元の文献をご参照ください。

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