最近、冷水浴(Cold-Water Immersion:CWI)が健康法として注目を集めています。
SNSや自己啓発界隈ではその効果が盛んに語られていますが、果たして科学的な根拠はあるのでしょうか?
本記事では、国際的な研究チームが実施した大規模レビュー論文の内容をもとに、水風呂が本当に私たちの健康やメンタルに良い影響を与えるのかを検証します。
調査の概要
この論文は、水風呂(冷水浴)の健康・ウェルビーイング効果に関するランダム化比較試験(RCT)11本を対象としたレビューです。
健康な成人3,177人を対象に、冷水シャワーや氷水風呂を実施した場合の、ストレス・睡眠・炎症・免疫・メンタル面などへの影響が調査されました。
この研究では、「15℃以下の水に30秒以上浸かる」という条件で冷水浴(CWI)を実施し、事前・事後の変化が統計的に分析されました。
項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | Effects of cold-water immersion on health and wellbeing: A systematic review and meta-analysis (冷水浸漬が健康と幸福に及ぼす影響:系統的レビューとメタ分析) |
著者・研究機関 | Tara Cain ほか、オーストラリアなどの研究者チーム |
発表年 | 2025年 |
出典 | PLoS ONE |
論文リンク | https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0317615 |
主な調査結果
\調査結果をまとめると…/
- 冷水浴直後〜1時間後には「炎症マーカー」が一時的に増加
- 冷水浴から12時間後には「ストレス」が有意に減少
- 免疫機能への影響は不明だが、病欠日数は約29%減少
- 「睡眠の質」「生活の質(QOL)」に改善傾向
- 「気分の改善」については明確な効果なし
炎症反応:短期的にはむしろ増える
冷水浴を行うと、体内の炎症マーカー(例:白血球、IL-6など)がすぐに上昇する傾向がありました。
これは体が寒冷刺激に反応してストレス応答を示すためと考えられています。
ただしこの反応は一時的で、1時間後には元に戻るか減少する傾向にありました。
つまり「長期的に炎症を抑える」ためには定期的な冷水浴が必要かもしれません。
ストレス:12時間後に明確な軽減効果
冷水浴後すぐにはストレス低下は見られませんでしたが、12時間後にストレスレベルが有意に低下。
この結果から、「夜に水風呂に入ると、翌日の心がラクになる」といった効果が期待できます。
免疫:明確な効果は確認されずも、病欠減少のデータあり
血中の免疫関連指標(白血球など)に明確な変化はありませんでしたが、自己申告ベースでの病欠日数が29%減少したという結果がありました。
睡眠の質・生活の質:改善傾向あり
毎日の冷水浴を行ったグループは、「睡眠の質」や「生活の質(QOL)」のスコアがわずかに向上しました。
特に、睡眠については5日間の連続冷水浴で効果が見られたという報告もあります。
気分:有意な変化は確認されず
一部の研究では、CWIによって「気分が改善した」との報告もありますが、メタ分析では統計的に有意な効果は確認されませんでした。
結論
この論文は、水風呂での冷水浴がもたらす健康効果を科学的に整理した貴重な文献です。
短期的には「炎症の一時的増加」がある一方、12時間後には「ストレス軽減」、中長期的には「睡眠の質」や「生活の質」の改善といったポジティブな変化が期待できます。
ただし「免疫」「気分」などの効果にはまだ十分な根拠がなく、今後の高品質な研究が求められます。
ととのう体験や集中力向上を求めて水風呂を取り入れている方も多いと思いますが、水風呂の効果は「すぐ」ではなく「少し時間をおいて現れる」というのが科学的な見解です。
毎日の習慣として取り入れるなら、夜の入浴に冷水浴を取り入れるのがおすすめかもしれません。
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