激しい運動の後に待っている、あのズーンとした筋肉痛。
「翌日のダメージを減らしたい」「早く回復したい」と感じたことのある方も多いのではないでしょうか?
アスリートの間では、そんな悩みに対処する手段として冷水浴(アイスバス・水風呂)が広く使われています。
では、本当に水風呂に入るだけで筋肉痛が軽くなるのか?
今回は、インターバル走のようなハードな運動の直後に冷水浴を行った際の効果について調査した研究をもとに、水風呂のリカバリー効果を科学的に解説します。
筋肉痛の軽減・筋力の回復スピード・血中マーカーへの影響など、実験データに基づいてわかりやすく紹介していきます。
調査の概要
この論文は、冷水浴による筋肉ダメージ軽減効果を実験的に検証した研究です。
長時間のインターバル走(90分のシャトルラン)を行った20名の男性を対象とした、冷水浴の効果を検証した比較実験の結果です。
この研究では、筋肉痛の自覚評価・筋力テスト・筋損傷の血中マーカー(クレアチンキナーゼ、ミオグロビン)をもとに、冷水浴(10℃、10分間)を行ったグループと行わなかったグループの回復度を比較しました。
項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | Influence of cold-water immersion on indices of muscle damage following prolonged intermittent shuttle running (長時間断続シャトルランニング後の筋損傷指標に対する冷水浸漬の影響) |
著者・研究機関 | D.M. Baileyほか(イギリス・スポーツ科学関連機関) |
発表年 | 2007年 |
出典 | Journal of Sports Sciences(Taylor & Francis) |
論文リンク | https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17654228/ |
主な調査結果
\調査結果をまとめると…/
- 水風呂は筋肉痛の緩和に効果がある
- 筋力の回復も早まる傾向がある
- 血中の筋損傷マーカーの一部に変化が見られた
筋肉痛(自覚症状)の変化
冷水浴を行ったグループでは、運動後1時間・24時間・48時間後の筋肉痛スコアが有意に低下。
水風呂に入らなかったグループに比べて、明らかに痛みの軽減が確認されました。
筋力の回復速度
膝の筋力テスト(等尺性収縮)では、冷水浴グループの方が筋力の低下幅が小さく、24時間後・48時間後に有意な差が認められました。
特に、回復の初期段階で水風呂の恩恵が大きいことが示唆されました。
筋損傷マーカー(血中成分)の反応
- ミオグロビン(筋肉の酸素貯蔵タンパク):運動1時間後に増加
→ 冷水浴により抑制された - クレアチンキナーゼ(筋細胞内のエネルギー関連酵素):24時間後にピーク
→ 冷水浴の影響は見られなかった
このことから、冷水浴は筋損傷の一部の指標には効果があるものの、すべての炎症やダメージ反応に作用するわけではないとわかります。
結論
この論文は、運動直後の冷水浴(10℃・10分間)が筋肉痛の軽減と筋力回復に有効である可能性を示しました。
一方で、筋損傷の血中指標(特にクレアチンキナーゼ)には影響がなかったため、完全な損傷抑制効果があるとは言えません。
それでも、「激しい運動のあとに筋肉痛や疲労感を軽減したい」というアスリートや一般のトレーニーにとって、水風呂は有効なリカバリーツールのひとつであることが、この研究から明らかになっています。
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