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水風呂による冷水浴は心拍数と血圧を低下させる可能性|3週間の研究で検証

寒さに身をさらす「冷水浴」は、近年その健康効果が注目され、実践する人が増えています。

しかし、実際にどのような身体的変化があるのかを科学的に調査した研究は限られています。

今回は、冷水浴が免疫細胞や心血管系に与える影響を検証した注目の論文をご紹介。

スイスの研究チームによる国際的な論文の内容をもとに、冷水浴の健康効果についてデータとともに解説します。

目次

調査の概要

この論文は、3週間にわたる冷水浴が白血球数と心血管系に与える影響を調査した実験研究です。

健康な成人男性を対象とした冷水浴(12分間、7℃の水に週4回×3週間)の結果です。

この研究では、冷水浴を行った群(CWI群)と対照群(CON群)に分けて比較し、白血球(免疫細胞)の数や血圧・心拍数の変化が分析されました。

項目内容
タイトルEffects of 3-week repeated cold water immersion on leukocyte counts and cardiovascular factors: an exploratory study
(3週間の反復冷水浸漬が白血球数および心血管因子に与える影響:探索的研究)
著者・研究機関Ninja Versteeg、Ron Clijsen、Erich Hohenauer 他/スイス応用科学大学 ほか
発表年2023年
出典Frontiers in Physiology
論文リンクhttps://www.frontiersin.org/journals/physiology/articles/10.3389/fphys.2023.1197585/full

主な調査結果

\調査結果をまとめると…/

  • 白血球の総数や種類に大きな変化は見られなかった
  • 好中球※の数と割合は冷水浴を行った群(CWI群)で有意に減少
  • 平均血圧と心拍数はCWI群で有意に低下

※好中球:白血球の一種で体の中で最も多い免疫細胞。体を細菌や感染から守る。

白血球への影響

冷水浴群では白血球の総数がわずかに減少。

とくに好中球の数と割合が有意に減った一方、他の白血球(リンパ球・単球など)には大きな変化は見られませんでした。

なお、対照群にも微小な白血球減少が見られたため、冷水浴の影響とは断定できないとの結論です。

心血管系への影響

冷水浴群では平均血圧が約12mmHg、心拍数が約4bpm低下しました。

これらは臨床的に意義のある変化とされていますが、測定方法のばらつきや緊張などの影響もあり、慎重な解釈が必要です。

3週間の冷水浴(CWI)による心血管指標の変化
図:3週間の冷水浴(CWI)による心血管指標の変化。
CWI群では平均血圧(MAP)と心拍数(HR)がともに有意に低下し、
対照群(CON)では変化が見られなかった(*p < 0.05)。

方法上の注意点

  • 対象者は12人と少人数
  • 女性は含まれていない
  • 測定回数が1回のみなど、精度に課題あり

結論

この論文は、冷水浴が心拍数・血圧の低下にはつながる可能性がある一方で、免疫細胞(白血球)の数に与える影響は限定的であると報告しています。

短期的ストレスとしての冷水浴が免疫に好影響を及ぼす可能性は示唆されましたが、効果の持続性や安全性を評価するには、より大規模で長期的な研究が必要です。

※本ページの内容はページ内にあるソースの学術文献等を、一部翻訳機能等を活用して弊社にて独自に翻訳・要約したものです。詳細は参照元の文献をご参照ください。

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