冷水浴は「トレーニング後の回復」に効果があるとして、多くのアスリートに用いられています。
しかし近年、筋トレ後の冷水浴が「筋肥大や筋力アップの効果を弱めるかもしれない」という研究が注目を集めています。
本記事では、国際的なレビュー論文をもとに、冷水浴のメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
調査の概要
この論文は、レジスタンストレーニング(筋トレ)後に行う冷水浴の長期的な身体適応への影響をまとめたレビューです。
トレーニング経験のある若年男性を対象とした複数の研究結果を分析し、筋肉の成長や筋力向上、筋繊維の分子反応までを包括的に検証しています。
この研究では、複数の無作為対照試験や介入研究をレビューし、筋肥大・筋力・分子応答などが分析されました。
項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | Post-exercise Cold Water Immersion Effects on Physiological Adaptations to Resistance Training and the Underlying Mechanisms in Skeletal Muscle: A Narrative Review (運動後の冷水浸漬が抵抗トレーニングへの生理的適応と骨格筋の基礎メカニズムに与える影響:叙述的レビュー) |
著者・研究機関 | Aaron C. Petersen、Jackson J. Fyfe |
発表年 | 2021年 |
出典 | Frontiers in Sports and Active Living |
論文リンク | https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8060572/ |
主な調査結果
\調査結果をまとめると…/
- 筋トレ後の冷水浴は、筋肥大(特に速筋の肥大)を抑える可能性がある
- 筋力の向上が冷水浴によって減少する傾向
- 分子レベルでは、タンパク質合成・衛星細胞・リボソーム生成が抑制されていた
筋肥大への影響
冷水浴は、筋肥大の主要因であるタンパク質合成を約20%低下させ、特に速筋(type II)の成長を妨げることが複数の研究で確認されています。

特に速筋(type II)の成長や太もも・前腕などの筋断面積の増加が、冷水浴群では著しく抑えられている。
一方で除脂肪体重(全身の筋肉量)では大きな差は見られなかった。
筋力・パワーへの影響
1RMやジャンプ力などの最大筋力・瞬発力の向上も冷水浴によって阻害されるケースが多数。
特に、トレーニング経験者でその傾向が強く見られました。

多くの研究で、コントロール群(白)に比べて冷水浴群(黒)は筋力の伸びが小さく、
特に下半身の動的筋力や握力などで明確な差が見られた。

筋持久力や瞬間的なパワー発揮能力は、冷水浴によって伸びが鈍化する傾向が複数の研究で確認されており、
競技パフォーマンス向上を目指す場合は注意が必要。
分子応答の変化
冷水浴は筋肉内のmTORC1シグナル伝達、リボソーム生成、衛星細胞の活性化などを抑制。
その結果、長期的な筋力・筋量の増加が制限される可能性が示唆されました。
結論
この論文は、筋トレ後の水風呂が、筋肥大や筋力向上といった適応を阻害する可能性があることを明らかにしました。
短期的な疲労回復には効果がある一方で、筋肉を大きくしたい・強くしたいと考えている方には、冷水浴を頻繁に行うことは避けた方がよいかもしれません。
特にトレーニング経験者やアスリートにとっては注意が必要です。
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