サッカーの試合では、後半のパフォーマンス低下をいかに防ぐかが勝敗を左右します。
近年、短時間で疲労を軽減する手段として「アイスバス(冷水浴)」が注目されていますが、実際の競技中に効果はあるのでしょうか?
本記事では、大学サッカー選手を対象に行われた冷水浴の効果検証に関する最新の日本の研究を紹介します。
調査の概要
この論文は、運動間におけるアイスバス(冷水浴)がサッカー選手のパフォーマンスに与える影響をまとめた研究です。
大学サッカー選手13名を対象とした間欠的運動能力(持久力)と瞬発系能力への影響の検証の結果です。
この研究では、実際の試合を想定したYo-Yo Intermittent Recoveryテスト(YYIRテスト)※前後に、10分間のアイスバスと座位安静の2条件を比較し、走行距離、皮膚温、膝伸展力、ジャンプ力、30m走などの数値を分析しました。
※Yo-Yo Intermittent Recoveryテスト:短距離ダッシュと休息を繰り返し、間欠的な持久力と回復力を測定するフィットネステスト。

項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | アイスバスがサッカー競技における特異的体力テストのパフォーマンスに与える影響 |
著者・研究機関 | 藤田英二・末次真啓・森崎由理江(鹿屋体育大学) |
発表年 | 2017年 |
出典 | 日本アスレティックトレーニング学会誌 第3巻 第1号 |
論文リンク | https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsatj/3/1/3_45/_pdf/-char/ja |
主な調査結果
\調査結果をまとめると…/
- アイスバスは持久力を維持するのに効果がある
- 一方で、垂直跳びや30m走などの瞬発系能力は一時的に低下
- 実際の競技で活用するには再ウォームアップの導入が必要
アイスバスは後半の走行距離低下を抑制
Yo-Yoテストの後半走行距離は、安静条件で約17%の低下に対し、アイスバス条件では約4%の低下にとどまり、明らかな差が見られました。
このことから、アイスバスは持久系のパフォーマンス維持に効果的といえます。
皮膚温が有意に低下
アイスバス後の大腿部皮膚温は27.5℃まで下がり、試合後も低いままでした。
これにより、体温の過度な上昇を防ぎ、持久系能力の維持に貢献したと考えられます。

垂直跳び・30m走タイムは悪化
CWI後は、ジャンプ力や30m走タイムが有意に悪化。
これは筋温低下による筋収縮速度の低下や粘性の増加が原因と考えられ、瞬発力系の能力に負の影響を及ぼす可能性があると示されました。

結論
この論文はサッカーのハーフタイム中に行う冷水浴(アイスバス)が後半の持久力維持に有効であることを示しました。
一方で、瞬発系能力には一時的な低下が見られるため、競技での導入には再ウォームアップの併用が強く推奨されます。
水風呂やアイスバスは、使い方次第で大きな効果を発揮します。
疲労回復を目的とする場面では有効ですが、冷やしすぎによる弊害を防ぐためにも、冷却時間やタイミングの工夫が鍵となります。
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