熱中症は季節や環境を問わず誰にでも起こり得るリスクですが、水風呂(アイスバス)は短時間で深部体温を下げられる有効な冷却手段として注目されています。
医療現場やスポーツの現場でも導入が進む水風呂は、適切に使えば命を守る力になります。
本記事では、創業40年の『水風呂・チラードットコム』が、熱中症のリスクと水風呂の効果的な活用法を、実例とともにわかりやすく解説します。
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熱中症の症状|放置すると命に関わることも

熱中症は、軽度の「熱失神」や「熱疲労」から始まり、進行すると「脱水」や「全身の倦怠感」などの中等症状を経て、最終的には「熱射病」や「意識障害」といった重篤な状態に至る可能性があります。
そのまま放置すれば、脳や内臓に深刻なダメージを残す危険性もあり、命を落とすケースも報告されています。
こうしたリスクを避けるためには、症状に気づいた段階ですぐに体温を下げる処置が重要です。
水風呂(アイスバス)や冷却タオルを活用し、迅速かつ適切な冷却を行いましょう。
熱中症の応急処置として水風呂は有効!

熱中症の緊急対応として、もっとも効果的な冷却法のひとつが「水風呂(アイスバス)」です。
冷水に広範囲を浸すことで、風や冷却タオルによる冷却よりもはるかに迅速に体温を下げることができます。
冷却方法 | 体を冷やすのにかかる時間 |
---|---|
保冷剤を静脈に当てる | 約90分 |
水風呂に浸ける | 約20分 |
特に冷却すべきなのは、首・わきの下・太ももの付け根といった、太い血管が通る部位です。
水風呂であれば、これらの部位を同時に冷やすことができ、短時間で効率よく体を冷却できます。
ただし、すでに熱中症の症状が出ている場合に、いきなり10℃以下の冷水に入れるのは危険です。
体に強いストレスがかかり、血圧や心拍に悪影響を及ぼす可能性があるため、まずは35℃前後のぬるま湯から始めて徐々に冷やす方法が推奨されます。
また、水風呂が準備できない場合でも、水道水をホースでかけ流すだけでも効果があります。
重要なのは、できるだけ早く体表を冷やすこと。これが、重症化を防ぐカギとなります。
水風呂は熱中症対策としても活躍
水風呂は、熱中症の応急処置だけでなく、日常的な予防法としても有効です。
炎天下での作業や運動のあとに水風呂で体を冷却することは、深部体温(コア体温)の上昇を抑え、翌日のパフォーマンス低下や体調不良のリスクを減らす効果が期待できます。
これは、冷水による皮膚・筋肉・血液の温度低下が、全身の熱放散を促し、循環器系への負担を軽減するためです。
このように、水風呂は体温調節能力の向上を促す一助となり、熱中症になりにくい体づくりに貢献します。
熱中症対策として水風呂に入るときの正しい方法

前の見出しで触れたように、熱中症を防ぐための水風呂利用は、方法を誤るとかえって逆効果になることもあります。
ここでは、安全かつ効果的に体を冷やすための正しい入り方と注意点をご紹介します。
水風呂に入るときの適切な温度と時間
水風呂の温度は、15〜20℃前後が理想とされています。
これは、一般的なクールダウン用の水風呂とほぼ同じ温度帯で、身体に無理なく熱を逃がすのに適した範囲です。
10℃以下の冷水はかえって体を強く収縮させ、血管の収縮や体温調節機能の乱れを招くリスクがあるため避けましょう。
入浴時間は長くても2分以内が目安となり、それ以上は体が冷えすぎてしまい、疲労感や体調不良を引き起こす可能性があります。
効果的な入り方
熱中症対策に効果的な水風呂の入り方のポイントは「水分補給・徐々に冷やす・休息」です。
①水分補給
スポーツドリンクや経口補水液で、汗と一緒に失われた電解質を補いましょう。
②徐々に冷やす
急に全身を浸すと身体が驚いてしまうため、入水は足先からゆっくりと。
徐々に冷たさに慣らすことが大切です。
③休息
冷却後は座って安静に。
急激な冷却で上がった血圧や心拍数を落ち着かせるため、しばらく静かに過ごしましょう。
あわせて行いたい日常の熱中症対策
暑い季節や活動中の熱中症を対策するために、普段から
- こまめな水分
- 塩分補給
- 質の良い睡眠
- 暑熱順化
を意識しましょう。
「暑熱順化(しょねつじゅんか)」とは、日常的に湯船やサウナで汗をかくなど、体を暑さに慣らす習慣づくりです。
こうした準備が、熱中症に強い体づくりにつながります。
熱中症対策のための冷却設備の活用

水風呂による冷却は個人のケアだけでなく、学校やスポーツ施設などの集団活動の場でも重要性が高まっています。
特に夏場に活動が集中する部活動では、チラー※付き水風呂(冷却装置付き水槽)の導入が注目されています。
AEDと同様に、熱中症の緊急時対応として設置を求める声が広がっており、実際に導入を進める教育機関や自治体も増加中です。
炎天下のグラウンドや屋外イベント会場などでは、誰でも使える冷却設備の整備が命を守るインフラとして期待されています。
熱中症対策にアイスバスを導入した事例
ここでは、実際に熱中症対策にアイスバスを導入した国内の事例を3つご紹介します。
- 富山県のサッカーチームの導入事例
- ラグビー競技での活用
- 大阪府堺市消防局の導入事例
富山県のサッカーチームの導入事例

富山県のジュニアユースチーム「VIENTO(U-15)」では、持ち運び可能な折りたたみ式アイスバス「P-PEC」を導入。
現場でわずか5分で設置でき、素早く選手の体温を下げられるのが特長です。
新潟県の専門医も、全身冷却を早期に行うことで臓器障害のリスクが下がるとし、5分間の冷却でも十分な効果があるとしています。
参考:朝日新聞「重い熱中症、氷風呂で全身冷却 1個5万円も「命に比べれば安い」」
ラグビー競技での活用

試合時間が長く、強度の高いコンタクトが続くラグビーは、特に夏季に深部体温の急上昇が起きやすい競技です。
そのため、熱中症予防・パフォーマンス維持の両面からアイスバスが活用されています。
- 試合や練習前後の体温調整
10℃前後の冷水に全身を浸すことで、コア体温を効率的に下げる。 - 試合後のリカバリー
筋肉の炎症や疲労の回復を促進。特に10〜15分の冷却が効果的。 - ハーフタイムでの短時間冷却
5分ほどの冷却で、後半の動きの質を保つ工夫も。
こうした対策により、プロ選手は熱中症だけでなく、疲労や炎症の軽減にも水風呂を活用しています。
参考:フットボールの科学 2021 Vol.16 No.1「ラグビーにおける暑熱対策」
大阪府堺市消防局の導入事例

堺市消防局では、防火服による体温上昇への対応策としてアイスバスを導入。
防火服は高熱から身を守る一方で、熱がこもりやすく、隊員の体温が上昇しやすいという課題があります。
そのため、災害現場での活動後にすぐ体温を下げる手段としてアイスバスを活用し、安全性と回復力の確保を図る重要な施策となっています。
まとめ|水風呂を活用して熱中症対策を万全に

水風呂は、熱中症の応急処置にも日常的な予防にも効果的な冷却手段です。
15〜20℃の適切な温度管理と、2分以内の安全な使用方法を守ることで、深部体温を効率よく下げられます。
学校やスポーツ施設などでも導入が進んでおり、命を守る備えとして注目されています。
もし水風呂の導入を検討されている場合は、当社「水風呂・チラードットコム」までお気軽にご相談ください。
現場に合った機器選定や設置方法など、トータルサポート。
創業40年の信頼と100以上の豊富な実績を持った専門スタッフが、丁寧にご案内します。

もちろん、ご相談は何度でも無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。
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