冬の寒さの中であえて冷たい水に飛び込む水風呂や冷水浴。
一見すると過酷な行為のようにも思えますが、近年では「免疫力アップ」や「ストレス解消」など、健康面でのメリットが注目されています。
本記事では、実際に科学的根拠があるのかどうか、水風呂の健康効果についてデータとともに解説します。
調査の概要
この論文は、水風呂(冷水浴)による健康影響に関する既存研究をまとめたレビューです。
人間を対象とした104本の研究結果が分析対象となっています。
この研究では、PubMed・MEDLINE・EMBASEの複数データベースから728本の論文を収集・精査し、重複排除や条件に合致しないものを除外したうえで、104本の論文がレビュー対象となりました。
項目 | 内容 |
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タイトル | Health effects of voluntary exposure to cold water – a continuing subject of debate (冷水への自発的な曝露による健康への影響 – 議論が続くテーマ) |
著者・研究機関 | Didrik Espeland, Louis de Weerd, James B Mercer / ノルウェー北極大学など |
発表年 | 2022年 |
出典 | International Journal of Circumpolar Health |
論文リンク | https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0317615 |
主な調査結果
\調査結果をまとめると…/
- 水風呂は「褐色脂肪」を活性化し、体脂肪やインスリン抵抗性の改善に関与する可能性がある
- 水風呂に慣れている人ほど血圧・酸化ストレス・コレステロール指標などが改善している傾向
- メンタルヘルスやストレス対処、免疫力に好影響を与えるという報告も複数あり
水風呂は脂肪燃焼や代謝改善に関係する?
水風呂は「褐色脂肪組織(BAT)」を活性化させ、脂肪燃焼を促す働きがあると考えられています。
また、非ふるえ熱産生(褐色脂肪組織が担う熱産生メカニズム)によりエネルギー消費が促され、インスリン感受性の向上や糖尿病予防への寄与が期待されます。
心血管リスクを下げる可能性も
水風呂に慣れた「冬季水泳者」では、善玉・悪玉コレステロールの比率や酸化ストレスマーカーの改善がみられたとの報告も。
短期的には心拍数や血圧の急上昇リスクがある一方で、長期的には心血管系に良い影響を与える可能性が示唆されています。
メンタルヘルスにもメリット?
冷水浴によってノルアドレナリンやエンドルフィンが分泌され、気分の改善や不安の軽減が報告されています。
特に、うつ病患者の症状が軽減した事例報告もあり、今後の研究に期待が集まっています。
結論
この論文は「水風呂(冷水浴)が人体に与える健康効果」について、科学的に有望なエビデンスがある一方で、まだ断定的な結論には至っていないことを示しています。
ただし、褐色脂肪活性やインスリン感受性改善、免疫力・ストレス耐性向上などの可能性は非常に興味深く、日常生活に取り入れることで健康維持に役立つ可能性があるといえるでしょう。
高齢者や心疾患を持つ方は急激な冷水への曝露を避け、専門家の指導のもとで行うことをおすすめします。
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