「冷たい水に入るとスッキリする」「朝の冷水シャワーで気合が入る」
そんな声を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
最近では、健康やメンタルケアのために冷水浴を取り入れる人が増えています。
今回ご紹介する研究では、実際に冷水浴がポジティブな感情を高める脳内変化を引き起こすことが明らかにされました。
本記事では、サウナや冷水浴の健康効果についてデータとともに解説します。
調査の概要
この論文は、冷水浴によって脳内ネットワークのつながりが強まり、ポジティブな感情が高まる仕組みを解明した研究です。
20~45歳の健康な成人33名を対象とした実験の結果です。
この研究では、冷水に5分間浸かった前後で脳機能画像と感情の自己評価を実施し、脳のネットワークの変化と気分の変化を分析しました。
項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | Short-Term Head-Out Whole-Body Cold-Water Immersion Facilitates Positive Affect and Increases Interaction between Large-Scale Brain Networks (短期間の頭部を外に出した全身冷水浸漬はポジティブな感情を促進し、大規模脳ネットワーク間の相互作用を増加させる) |
著者・研究機関 | Bournemouth大学、University Hospital Dorset、University of Portsmouth等 |
発表年 | 2023年 |
出典 | Biology誌(Neuroscience分野) |
論文リンク | https://www.mdpi.com/2079-7737/12/2/211 |
主な調査結果
\調査結果をまとめると…/
- 冷水浴後、参加者の「活発さ」「集中力」「誇り」「インスピレーション」が有意に上昇
- 脳内では、「デフォルトモードネットワーク」「サリエンスネットワーク」などのつながりが強化
- ネガティブな感情はやや減少したが、脳との関連は弱め
冷水浴後に高まったポジティブ感情
参加者は冷水浴後、以下のような感情の高まりを報告しました。
- 注意深くなった
- インスパイアされた
- 誇らしく感じた
- 落ち着いた(不安や緊張の減少)
感情スコアの統計解析では、ポジティブ感情のスコアが有意に上昇(平均7ポイント増)、ネガティブ感情が有意に減少(平均約4.7ポイント減)しました。

冷水浴(CWI)後には、ポジティブ感情が有意に上昇し(例:活発・集中・誇らしいなど)、
ネガティブ感情は有意に低下(例:不安・緊張など)した。
ポジティブ感情と脳内ネットワークの変化
fMRIの解析により、以下の脳のネットワーク同士の結びつきが強まったことがわかりました。
- デフォルトモードネットワーク(自己関連思考)
- サリエンスネットワーク(感情・注意の切り替え)
- フロントパリエタルネットワーク(注意制御)
- 視覚系ネットワーク
これらは、「ポジティブな気分を支える脳の中核的なネットワーク」と言われており、活発な感情・注意集中・ポジティブな自己意識と関係があります。
ネガティブ感情の変化は?
ネガティブ感情(不安・緊張など)の低下は確認されましたが、それに対応する脳ネットワークの変化は明確には検出されませんでした。
これは、ポジティブ感情の脳メカニズムの方が強く反応したことを示しています。
結論
この論文は「たった5分の冷水浴」がポジティブ感情を高め、脳内ネットワークを活性化する可能性を示唆するものでした。
とくに、「やる気が出ない」「注意力が続かない」などの軽度な不調には、自然かつ手軽な改善手段となる可能性があります。
一方で、冷水浴は誰にでも適しているわけではなく、心疾患や冷え性のある方は慎重になる必要があります。
医師のアドバイスを受けながら、まずは短時間から試してみるのが安全です。
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