水風呂を氷で冷やす際、「冷えるまでに何時間かかるのか」「どれだけの氷が必要か」は、設営や準備の精度を左右する重要なポイントです。
本記事では、創業40年の実績を持つ『水風呂・チラードットコム』が、水風呂を理想の温度まで冷やすためにかかる時間と、必要な氷の量を理論と実例をもとにわかりやすく解説します。
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【時間】氷で水風呂を冷やすためにかかる時間の考え方

水風呂を氷で冷却する際に要する時間は、以下の3つの要素に大きく影響されます。
- 使用する氷の量
- 氷と水の接触面積
- 水をかき混ぜるかどうか
たとえば、水200Lを25℃から15℃に冷却するために25kgの氷を使用した場合、冷却完了までの目安時間は以下の通りです。
- かき混ぜながら冷やす場合、約3時間
- かき混ぜずに放置する場合、6時間15分程度
この時間は、氷が溶けながら水と熱交換を行う性質によるものです。
短時間で効果的に冷やしたい場合は、以下のような工夫をするとよいでしょう。
- より多くの氷を投下する:水と交換される熱量が増える。
- 氷を砕いて使用する:表面積が増え、熱交換が早まる。
- 水をかき混ぜる:水全体が均等に冷える。
かき混ぜずに放置すると、氷を入れただけで放置すると水面だけが先に冷え、全体の温度が下がるまでに時間がかかる点にも注意が必要です。
実際の検証例|170Lの水を凍らせたペットボトル10kgで冷やす場合

サウナーズハウス「サウナ社長」のYouTubeでは、家庭用の170Lの水風呂を凍らせた2Lペットボトル氷で冷却した実験が紹介されており、非常に参考になります。
【実験条件】
- 水風呂の水量:170L
- 初期水温:23℃
- 氷の種類:2Lペットボトルに入れて凍らせた氷×5本(合計10kg)
- 環境:夏場の浴室の浴槽、撹拌なし
【実験結果】
- 氷投入から35分後:水温は 20.8℃(初期温度より-2.2℃)
- 氷投入から1時間5分後:水温は 18.8℃(初期温度より-4.2℃)
この結果から、上記の条件下では撹拌がなくても約1時間で4℃以上の冷却が可能であることが実証されました。
参考動画:氷ペットボトルで夏場の水風呂が何度下がるか検証してみた!
水が冷える仕組みから冷えるまでの時間を考える

水が冷えるのは、氷が水の熱を吸収して溶けるためです。
つまり、「どれだけ水を冷やしたいか(温度差×水量)」と、「どれだけ氷で熱を奪えるか(氷の量)」のバランスで、冷却できるかが決まります。
加えて、氷が溶けるスピードによって、実際に冷えるまでの時間も変わります。
以下は、家庭用で多く使われる水風呂の水量(初期温度23℃)を15℃まで冷やすために必要な氷の量と、冷えるまでの時間の目安です。
水量(L) | 必要な氷の量(kg) | 時間の目安(撹拌なし) | 時間の目安(撹拌あり) |
---|---|---|---|
100 | 12.5 | 3時間7分 | 1時間27分 |
150 | 18.8 | 4時間41分 | 2時間11分 |
200 | 25.1 | 6時間15分 | 2時間55分 |
250 | 31.3 | 7時間49分 | 3時間39分 |
300 | 37.6 | 9時間23分 | 4時間23分 |
※「撹拌あり」は10〜15分ごとにかき混ぜる場合の目安。
これらはあくまで理論上の目安であり、実際は氷の種類(砕氷/ペットボトル氷など)や外気温、水槽の材質によって前後します。
また、十分な氷の量を用意しないと時間をかけても目標の水温まで下がり切らないので、氷の量も非常に重要です。
必要な氷の量については、つづいての章で詳しく解説していきます。
【氷の量】水200Lを25℃→15℃に冷やすには必要な氷は25kg

一般的な家庭用浴槽の水量は、200L前後が一般的です。また、夏場の水道水は地域によっては25℃以上になることもあり、水風呂としては高めの温度です。
この25℃の水を心地よく冷える15℃まで下げるには、約25kgの氷が必要となります。
ただし、この数値はあくまで“一時的に15℃に冷やすための目安”です。
水風呂に人が入ると体温で水温が上昇することや、一定の温度をキープしたい場合はさらに氷を追加する必要があるということを押さえておく必要があります。
自動計算機|水風呂を冷やすのに必要な氷の量を計算
水風呂の水温を目標温度まで下げるために必要な氷の量の目安を計算するための、自動計算機をご用意しました。
水の量と水温を入力すると、冷却に必要な氷の量(kg)を自動計算します。
※この計算結果は理論値に基づくおおよその目安です。実際の冷却効率や環境条件により異なる場合があります。
なぜこれだけの氷が必要なのか?熱力学的な根拠

前述したように、水を冷却するためには、「水の熱を奪う」ことが必要です。
この熱エネルギーの移動は、熱力学の基本法則に基づいています。
具体的には、氷1kgが水に変わる(融解する)際に約334kJの熱を吸収します。
これを「融解熱」と呼びます。
一方、水1Lの温度を1℃下げるためには、約4.2kJのエネルギーが必要です(比熱容量の値に基づく)。
この関係から、必要な氷の質量は以下の式で導き出されます。
必要な氷の量(kg)=水の量(L)×温度差(℃)×4.2÷334
たとえば、先ほどの例のように水200Lを25℃から15℃に冷やす場合は、以下の計算式で必要な氷の量が算出できます。
200L×10℃×4.2÷334≒25.1kg
このように、必要な氷の量は冷やしたい温度差と水量に比例するのです。
水風呂を冷やすのにおすすめの氷の種類
水風呂を氷で効率よく冷やすには、使う氷の種類が重要です。
冷却スピードや持続時間に応じて、最適なタイプを選びましょう。
最もおすすめ「砕氷(クラッシュアイス)」

最も素早く冷やしたいなら、砕氷がイチオシです。
細かく砕かれているため表面積が広く、水との接触面が多くなることで熱交換がスムーズに進みます。
短時間で水温を一気に下げたいときにぴったりです。
ただし、シャーベットほどの細かさになるとすぐに溶けてしまい冷却が維持できませんので、ある程度砕けた氷がよい、ということを覚えておきましょう。
冷たさをキープするなら「板氷」

長時間、安定して冷たさを保ちたいなら板氷がおすすめです。
溶けにくく持続性が高いため、水温を緩やかに下げながら冷たい状態をキープできます。
保冷力を重視したい場合に最適です。
手軽さで選ぶなら「ロックアイス」

手軽に入手できて、そこそこの冷却力があるのがロックアイスです。
コンビニなどでも手軽に買えるため、家庭用の浴槽や少量の水を冷やすには便利ですね。
ただし、コストパフォーマンスはやや低めです。
水風呂用の氷はもちろん家庭でも作れる
水風呂を冷やすための氷は、コンビニなどで購入するだけでなく、家庭でも簡単に作ることができます。
【水風呂用氷を作る方法】
- 冷凍庫の製氷皿を使う。
- 2Lのペットボトルに水を入れて凍らせる。
- 大き目のタッパーに水を入れて大きい氷を作る。
上記の方法で、大量の氷をストックすることも可能です。
ただし、自宅の冷凍庫で作る氷は不純物や気泡を含みやすく、コンビニのロックアイスに比べると溶けやすい傾向があります。
より冷却力を高めたい場合は、氷を増やすか、複数の保冷手段を併用するのがおすすめです。
コストを抑えつつ手軽に冷たい水風呂を楽しみたい方は、ご自宅での氷づくりもぜひ取り入れてみてください。
氷でもシングル(10℃以下)の水風呂は作れる?

結論から言えば、氷を使って10℃以下の水風呂を作ることは可能です。
ただし、そのためには相応の氷の量が必要になります。
前述の例のように水200Lを25℃から15℃に冷やすには約25kgの氷が必要ですが、さらに10℃まで下げるには、その1.5倍〜2倍近くの量(およそ36〜48kg程度)が目安となります。
とはいえ、十分な量の氷を一度に用意できる環境であれば、一度チャレンジしてみる価値はあるかもしれません。

氷以外を使って水風呂を冷やす方法
氷が手に入らないときや毎回準備するのが面倒という方には、他の冷却手段も検討する価値があります。
ここでは代表的な3つの方法をご紹介します。
- チラーを使う
- 保冷剤を入れる
- 凍らせたペットボトルを入れる
チラーを使う

本格的に水風呂を楽しみたいなら、やはりチラー(冷却装置)の導入が最も効果的です。
初期投資は必要ですが、スイッチひとつで10℃以下のシングル水風呂も実現可能。
氷を毎回準備する手間や購入コストを考えれば、長期的にはむしろコストパフォーマンスが良いケースも多いです。
自宅で施設レベルのととのいを味わいたい方には、特におすすめの選択肢です。
保冷剤を入れる

冷凍庫で凍らせた大型の保冷剤をそのまま水に投入する方法もあります。
メリットは繰り返し使えるため、環境にもやさしく経済的である点です。
ただし、
- 表面積が小さく熱交換効率があまり良くない
- 大量に用意しないと水温が下がりにくい
- 保冷剤が冷凍庫のスペースを圧迫する
などのデメリットもあるため、サポート的な使い方が現実的です。
凍らせたペットボトルを入れる

もっとも手軽なのが、水を入れたペットボトルを凍らせて水風呂に投入する方法です。
2Lサイズのボトルを数本凍らせておけば、製氷機がなくても冷却が可能になります。
ただしこちらも、保冷剤と同様に表面積が小さいため、水温が下がるまで時間がかかるという欠点があります。
とはいえコストがかからず、誰でもすぐ始められる方法として有用です。
まとめ|繰り返し冷やすならチラーが断然ラク!氷の手間とコストは想像以上

氷を使って水風呂を冷やすのは手軽で始めやすい方法ですが、繰り返すたびに大量の氷・時間・労力が必要になり、次第に負担が大きくなっていきます。
そこでおすすめなのが、水風呂用チラーの導入です。
チラーを接続して水を循環させれば、スイッチひとつで水温を安定的にコントロール。10℃以下の“シングル”水風呂も、毎回手間なく実現できます。
さらに、フィルターやろ過装置を併用すれば、常に清潔な水を保てるため、水の入れ替えや冷却作業の手間もグッと軽減されます。
「本格的な水風呂を、自宅や施設に導入したい!」と思ったら、まずは『水風呂チラードットコム』へご相談ください。
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もちろん、ご相談は何度でも無料です。
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